春の訪れを感じるマイフェイバリットシングス特集①~シューマンのピアノ協奏曲~

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春めいてきた矢先と思っていたらまた冬に逆戻りしたような寒さに。こんな時は春の訪れを感じられる音楽を・・・という事で今日より数回に渡ってマスターのお勧めの逸品をシリーズで取り上げてみたい。春といえばまずヴィヴァルディの四季より「春」が思い浮かぶが、個人的にはシューマンも春にぴったりと思える曲が多くある。交響曲第1番「春」や3番「ライン」もそうだが、今日はピアノ協奏曲を、敬愛するペーター・レーゼルのピアノ、クルト・マズア指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による演奏で。ドイツ・シャルプラッテンレーベルによる80年の録音で、10枚組の「ペーター・レーゼル/ピアノ協奏曲集」のBOXセットからの一枚。

この録音を初めて聴いたのは4年前の転勤時。それがちょうど春先の3月頃だったというタイミング、という理由ではない。じっくりと耳を傾けて聴いてみると生命の息吹を感じる感動的な音楽だ。

この曲のイメージを自分なりに想像してみた。第一楽章は物憂げなシーン。オーボエソロとそれに続くピアノの旋律がその気持ちをかきたてる。季節でいうと冬だろうか。なにかもやもや気分の晴れないものがたちこめている。一方、2楽章はどことなく素朴さと安堵感を感じさせる。出だしのピアノの4音が幾度となく繰り返されるのが印象的。春を待ちわびる人々の姿、とでもいうのだろうか。

そして途切れず終楽章へ。冬の寒さに耐えて、ようやく春の花が咲き始め出し、太陽の日差しが徐々に差し込んできたようなイメージ。ピアノが紡ぎ出す旋律がただただ美しい。きらきらと輝きながらも凛とした存在感を感じさせるのは、シューマンの内に秘めた情熱の表れだろうか。自然の幸福感と共に人々に希望と活力を与えてくれる何かを感じさせてくれるのだ。

ペーター・レーゼルは当時東ドイツで活躍していた正統派ピアニスト。他にもチャイコフスキーのピアノ協奏曲やブラームスの作品等、名盤を当時東ドイツの名レーベル、ドイツ・シャルプラッテンに数多く残している。録音も他のメジャーレーベルとひけを取らず素晴らしい。日本では仙台のピアノコンクールの審査員としての接点もあるが、そんな彼のピアノリサイタルがこの5月に紀尾井ホールで開催されるという。個人的には機会があれば是非聴いてみたいものだ。

過去に2回、この曲の実演に接した経験があるのだが、第一楽章の印象が強すぎてそれまではあまり好きではない曲だった。それが2年前だろうか、横浜みなとみらいホールで聴いた小山実稚恵さんのピアノ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で印象がパッと変わったのだ。上記のように終楽章が輝きに満ちていて、小山さんの情熱的な演奏に心を打たれるものがあった。シューマンのピアノ協奏曲ってこんないい曲だったんだ、その時以来、好きなコンチェルトになった。

余談だが、昨年はモーツァルト生誕200年に押されてほとんど注目されなかったが、シューマンの46歳の生涯、没後150年(1810~1856)という節目の年でもあった。

時が経てば曲の印象というものも変わるものだ。それがまたクラシック音楽の奥深さのいい所なのかもしれない。

この記事へのコメント

mozart1889
2007年04月01日 05:03
レーゼルのボックスセット、安値に釣られて購入しました。ポツポツと聴いています。
このシューマンはゲヴァントハウス管の音が素晴らしく、聴き惚れました。
レーゼルのピアノは清潔、透明感があって全く綺麗ですね。第2楽章の表現は抒情的で実によかったです。
れお
2007年04月01日 10:51
>mozart1889さん
引き続き、コメント・トラックバック通知をありがとうございます。
mozart1889さんのブログでも取り上げられていたのを思い出しました。実はこの演奏、以前ゲヴァントハウスの5枚組BOXセットの中にも収録されていて、そこでレーゼルの名前を知ったのがきっかけなんです。自分の中ではドイツの他の名オケにうもれて隠れがちだったゲヴァントハウスの音に惚れるきっかけにもなりました。マズアも好サポートですね。ニューヨーク・フィルよりもゲヴァントハウスのシェフの頃の方がぴったり、という気持ちもします。

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